マンションは、戸建や土地の査定と異なり同マンション内の異なる部屋での成約事例があるため比較的査定しやすいといえますが、内装状態や向き・前面建物の有無によっても査定結果が大きく異なる場合もあるため注意しなければなりません。基本的には直近1年以内の成約事例と比較検討して査定致します。また、戸建と違い大きなクレームが発生しにくいことから最初はマンションの査定を中心にして慣れていきましょう。
1.まず最初に査定をするマンションの資料をとります。
【東京カンテイ】
・・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
・価格表:分譲価格について確認致します。他の部屋の成約事例があるときはその部屋の分譲価格と比較してみましょう。
・配置図:駐車場、駐輪場、エレベーターの有無等について確認致します。
・平面図:部屋位置について確認します。
・間取図:部屋の間取り、専有面積、バルコニー面積等について確認致します。
2.レインズで同マンション内の成約事例・販売事例を探します。同じマンション内での成約事例があれば、それを参考にするのが一番の近道と説得力になります。
【ポイント】
①・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
②分譲価格:分譲価格からどれくらい下落しているかある程度の目安がわかります。
③同マンション内の成約事例:過去10年間に遡って調べてみると一定の傾向がつかめます。
④査定価格を算出した後は、総額からの検討も行っておきましょう。査定価格が合っていても総額は大きすぎる等の理由で実際に購入できるお客様がいないかもしれません。
⑤レインズでの成約事例ではかなりの確率で部屋番号まで特定できます。まず、成約事例と同じ階で同じ㎡数の部屋をピックアップします。同条件の部屋が複数出てきた場合には、部屋の向きや、バルコニーの形、MBの位置、玄関ドアの開き方向、梁の位置、ポーチの形で、部屋の形状で部屋を特定します。どうしても区別をつけない部屋もあります。
⑥マンションの査定の場合は、部屋番号を特定して成約事例を説明すると、マンションのことを良く知っている人と思われ好印象です。その他、駐車場の空き状況、来客用駐車場の使用可否、管理人の氏名、管理組合での討議事項(値上げや大規模修繕の実施時期)も押さえておきましょう。
3.同じマンションの成約事例が無い場合は同じ沿線内の同築年代・同徒歩分数のマンションの成約事例を探します。
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5.最後は先輩に確認してもらいましょう。最初のうちは完璧に査定できたと思っても誤った結果が出てしまうことが多々あります。特に総額の観点からの検討で誤った結果が出ることが多いです。
6.買取価格から逆算してみましょう。買取価格は相場価格から1割~2割ぐらい低くなるのが通常です。買取業者に査定価格を出してもらい、その1割増しが査定価格と推測することが可能です。
7.物件の特性を加味しましょう。下記特性を有するマンション・部屋ならば査定価格を多少見積もっても成約に至る可能性が高くなります。
①・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
②角部屋:角部屋は南に向いていない部屋でも明るく、開放感があります。隣接住戸や共用廊下を通る人もいないためプライバシー性があります。
③眺望良好:高層階やルーフバルコニ-付きなど眺望が良い部屋は、感度が出やすいです。共用廊下側のお部屋も明るいことが多いです。
④階下に住戸がない:お子様が男の子のご家庭など、階下の住戸への音を気にする方もいらっしゃいます。
⑤ワイドスパンバルコニー:南面3室など、バルコニーに面している部屋が多い物件は、感度が出やすいです。
⑥大規模マンション:ファミリーの家族に人気があります。管理費や修繕積立金が割安な場合が多く、共用施設も充実しています。ファミリーの家族が多くママ友も多く住んでいるなど安心感があります。
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⑧LDが広い:LD部分だけで16帖以上あれば部屋が広く見え、内見したお客様に好印象を与えることができます。
⑨LDが横向き:縦向きのLDと比べて、横向きのLDの方が部屋を広く感じさせます。
⑩室内の状態が良好:室内の状態が良いと余計なリフォーム費用がかからずに済むため、その分高く成約することができます。
⑪オープンカウンターキッチン・出窓:オープンカウンターキッチンや出窓は部屋が実際よりも広く見えるため、高く成約できる場合があります。
⑫収納豊富:最近のマンションは収納スペースを上手く確保しているマンションが多いです。その中でも廊下の部分が少なく、専有面積を最大限確保している、布団を収納できるスペースを上手く確保している等収納豊富な部屋を希望しているお客様がいます。
⑬管理費・修繕積立金:・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑭駐車場の空きがある:マンションの敷地内に停めた駐車場から濡れずに入れる駐車場や、ハイルーフ・幅広対応可能な駐車場など、車にこだわりを持っている人には、駐車場が必須条件となる場合があります。特に資産を持っている人であればあるほど駐車場にこだわりを持つ人が多いです。
⑮ペット飼育可:ペットは家族の一員です。ペット嫌いでペットを飼えないマンションを探している人もいますが、圧倒的にペットを飼えるマンションの方が人気があります。古いマンションはペットを飼えないことも多いのですが、管理規約を変更してペットを飼えるようにしているマンションも増えています。
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⑰二面バルコニー:一般的にマンションの共用廊下側の部屋は暗いことが多いです。ところが二面バルコニーのマンションは、共用廊下側の部屋もバルコニーに面しているため、部屋が明るいです。
⑱2住戸に1基のエレベーター:大規模マンションでエレベーターが少ないと、朝の出勤時間にエレベーター待ちの渋滞が起こってしまったり、プライバシー性に欠ける側面があります。その点、2住戸に1基のエレベーターを有するマンションでは、プライバシー性に優れ、エレベーター待ちの状況も起こりにくいです。
⑲雁行型のマンション:雁行型のマンションは、壁に接する部分が少なく、その分開口部が採りやすく、明るい部屋が多いことが特徴です。
⑳低層マンション:お客様の中には、低層マンションや低層階の部屋を希望する方がいます。
㉑戸数が少ないマンション:住民同士のコミュニケーションが取りやすい一方、常に理事等を担当しなければならず負担も大きいです。
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㉓コンシェルジュサービス:クリーニングや宅配便の取次、パーティルームやゲストルームの管理など便利であることに加えて、マンションの格・ブランド力が高まります。
㉔24時間ゴミ出し可能:部屋の中にゴミを溜めずに24時間ゴミ出しが可能なマンションは人気があります。
8.査定して媒介契約した後は管理会社に電話して下記事項を確認しなければなりません。※重要事項の調査を待ったのでは遅い事項は先に確認しておきましょう。特に管理費・修繕積立金は売主から聞いた金額や他の成約事例や分譲時の額等から掴んだ金額を材料に管理会社に確認しましょう。「お客様から管理費・修繕積立金を○○円(成約事例や分譲時の金額)とお聞きしているのですが、間違いなかったでしょうか。」
【確認事項】
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②ペット飼育は可能か確認致します。
③フローリングにすることはできるか確認致します。※バブル期に建築されたマンションにフローリングにできない場合があるので注意しましょう。
④駐車場に空きはあるか、ハイルーフ対応の区画はあるか確認致します。
⑤管理会社から重要事項調査報告書・共用部分の修繕履歴・長期修繕計画書・直近の総会議事録をもらいましょう。
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⑦同マンション内で事件・事故等の心理的負担となるような事項はないか。
⑧ 他の部屋の管理費・修繕積立金を㎡数で割って得られた数字に媒介契約した部屋の㎡数をかけて得られた金額でほぼあっています。マンションの管理費等は部屋の㎡数を元に算出していることが多いからです。【例】301号室70.19㎡の修繕積立金が18,340円⇒405号室82.21㎡の修繕積立金は21,480円(18,340÷70.19×82.21=21,480)
⑨直近の討議事項:マンションの中で現在何が問題となっているか確認します。
⑩来客用駐車場:お客様のご案内の際に、車をどこに停められるか確認しておきます。
⑪リフォーム同意は必要か:リフォームをするために、隣接住戸の同意書が求められる場合があります。同意書は印鑑が必要になるため、過去に隣人トラブルがあったり、偏屈な人が隣人だったりすると取得できず、リフォームできない場合があるので注意が必要です。
9.マンション管理のチェックポイント:マンションの管理状態は、査定にとって重要なポイントになります。
①管理組合の借入金はないか:大規模修繕時に積立金が不足している場合、組合員からの一時金の徴収や管理組合名義での借入れをする場合があります。一般的に大規模修繕工事をする場合には4,000万円程度かかります。修繕積立金が4,000万円貯まっていないマンションは要注意です。
②管理費が高くないか:修繕積立金が高いのはマンションの資産価値維持のため仕方ありませんが、管理費が高い場合は要注意です。組合員に関心のある方や押しの強い人がいない場合に、管理会社に他と比べて高額の管理費を支払っているマンションもあります。
③・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
④告知事項はないか:例えば隣室に空き巣が入ったことがある、マンション内で事件が起こったことがある、問題のある人が上下左右に住んでいる等、入居後に発覚してトラブルとなるケースもあります。
⑤値上げ予定の有無:売主の中には、値上げや一時負担金があることが理由で売却する方もいます。
⑥滞納している組合員の有無:滞納している組合員が多いマンションは管理がずさんなので、修繕積立金が十分に貯まっていない、管理費が他のマンションと比べて高い場合があります。