税金の計算は、本来税理士の仕事ですが、不動産取引の内容によっては多額の税金がかかる事もありますので、基本的な事項を知らないとお客様からの信頼も得られないですし、クレームとなってしまう場合も有ります。信頼される営業マンとなるために、基礎的知識は必須です。
1.譲渡税:買った価格より高く売れた場合にその利益に対して課税されます。買った価格が不明な時は売った価格の5%が取得費とみなされます。※・・・
2.登録免許税:所有権移転時に必要となる税金です。戸建では築20年以内、マンションでは築25年以内の不動産に減免措置があります。
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4.居住用財産の特別控除・譲渡税:所有不動産を売却して譲渡益が発生する場合でもその不動産が居住用のものであった場合、譲渡益の3,000万円までは非課税となります。
【注意事項】
①空き家となって3年を経過した年の12月31日までは大丈夫です。
②住んでいる人が死亡してしまった場合、相続人はこの制度を利用できません。
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5.固定資産税・都市計画税:不動産を所有していると毎年1月1日の所有者に対して課税されます。多くの自治体は4月の新年度になってから税金の納税書を送付しています。
【注意事項】
①起算日が法定されていないため、契約時に起算日を1月1日にするか、4月1日にするか契約時に決定しておく必要があります。※FRKの標準約款では起算日が1月1日に設定されています。
②固定資産税の軽減措置がなくなると、徴収税額が増えます。決済時に安い固定資産税額で清算してしまい、その後、軽減措置がなくなった高い税額が売主から徴収される場合、売主からクレームになってしまいます。
③売主様の中には、平成27年10月1日に売却して固定資産税を清算したはずなのに、平成28年になってからも固定資産税を払う必要があったと言って騒ぎ立てる方がいます。※実際には平成27年度分の固定資産税を平成27年4月から平成28年3月にかけて分割して支払っているだけです。理解度が心配な売主様には、決済日に固定資産税の納付書を持ってきてもらい、その日のうちに全額納付してもらいましょう。
6.消費税:お客様の中には物件価格に対して消費税がかかると誤解されている方もいます。物件価格のうち、土地の部分については課税されませんし、個人間の売買では消費税はかかりません。そのほかに消費税がかかるもので大きいものは、仲介手数料や登記費用等です。
7.印紙税:1,000万円以内の売買契約書には1万円分、5,000万円以内の売買契約書には15,000分、5,000万円超の売買契約書には45,000円分の印紙を貼付しなければなりません。また、この金額は、税制の優遇措置による金額ですので注意が必要です。
8.住宅ローン控除:築年数が経過していない物件においては、購入した年の翌年2月に確定申告をすることで住宅ローン控除が受けられます。また、築年数が経過した物件でも耐震適合証明が受けられれば大丈夫です。控除金額は毎年変動するので注意が必要です。
9.確定申告:不動産を売却した場合、売却した年の翌年2月に確定申告を行う必要があります。
10.所得税の要否:不動産売却時に、売却金額が収入として計算され多額の所得税がかかるのではないかと心配するお客様がいらっしゃいますが、不動産売却時にかかる税金は譲渡税のみです。尚、譲渡税は売却によって利益が出ていないと課税されません。
11.贈与税:非課税で贈与できるのは年間110万円までですが、優良住宅を除く一般住宅を購入するための住宅資金を贈与する場合には、700万円プラス基礎控除110万円までが非課税となり、超過した額に対して税率(10%~55%)がかかります。
12.譲渡損失の損益通算・繰越控除:基本的に不動産売却損が生じても、他の不動産の譲渡所得と損益通算することはできますが、給与所得と損益通算することはできません。しかしながらマイホームを売却して損失が出る場合で、下記条件を満たす場合には給与所得との損益通算・繰越控除ができます。
①住んでいるマイホームを売却すること。※住まなくなってから3年目の年末までの売却であれば大丈夫です。
②売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるマイホームであること
③マイホームの売買契約前日において、住宅ローンが10年以上残っていること
④マイホームの売却金額が、住宅ローンの残高よりも低いこと。
13.空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例:相続した空き家を売却する場合で、譲渡税が課税されてしまう場合、空き家を解体して更地にして売却するか、旧耐震基準の家屋を改修して原稿の耐震基準に適合させて売却し、下記要件を満たせば、3,000万円の特別控除が使えます。
①相続日から起算して3年目の年末までに売却すること
②相続開始直前まで亡くなられた方が住んでいたこと
③昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
④相続時から売却時まで賃貸等にしていなかったこと
⑤売却金額が1億円以下であること
14.扶養控除や家族手当について:扶養控除の計算対象となるのは給与所得であり、不動産売却の譲渡所得とは課税科目が異なりますので、不動産売却代金が収入としてあったとして、扶養控除から外れてしまうことはありません。しかしながら家族手当等は、勤務先の内規によるものなので注意が必要です。
15.役立つサイト
①国税局
②タックスアンサー