営業マンが一番数字を見込みやすいのが、業者による買い取りです。一般のお客様と異なり、購入申し込みをしておいて契約をキャンセルするようなことはよっぽどのことがない限りありません。また、業者に買ってもらった物件を再販売する事で同じ物件で2度仲介手数料をもらえる大きなチャンスとなります。しかしながら業者が買い取る値段は、一般のお客様が購入する金額と乖離が大きい場合が多いので、交渉上手な営業マンでないと売主を説得するのが至難の業です。また、業者の担当者も人です。基本的な交渉は、一般のお客様と同様に気を使わなければなりません。詰め方を間違った為に手数料を引かなければならない事も多数生じてきます。ここでは業者交渉に際して抑えなければならないポイントをお伝えします。
1.引渡期日:手付金支払い後、買取業者は通常できるだけ早い引渡期日を希望致します。※買取業者には最初3~4ヶ月で提案しておきし、その後1~2ヶ月へ前倒しできれば、交渉がスムーズになります。
2.業者買取価格:業者が出してくる買い取り価格は、通常あまり差がないのですが、業者の得意・不得意分野(旧耐震・バス便はやらない等)や、再販価格の設定・利益率の設定方法等で驚くほど高い買取価格を提示してくれる場合もあります。※・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
3.手付金:買い取り業者が契約時に用意する手付金の額は、通常5%ですが、それ以上の額でも物件紹介時にあらかじめ話しておくことで5%以上の金額を用意してもらえることもできます。※・・・
4.資料の送付:業者に物件を紹介する際に必要な書類をまとめました。
【送付資料】
①住宅地図:場所の確認のために必要となります。
②建築概要書:建築した当時の状況について確認致します。
③平面図:部屋の位置について確認します。
④間取図:部屋の間取りについて確認します。
⑤配置図:マンション等のエントランス部分について確認します。駐車場等の位置も確認できます。
⑥測量図:敷地の境界寸法を確認します。敷地分割や建物のプラン図を作成するのに必要です。
⑦都市計画図:用途地域や建蔽率・容積率、地区計画等を確認します。
⑧・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑨・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑩リフォーム履歴がわかるものがあると、事前にリフォーム費用の目安を出しておくことが出来ます。
5.再販売について:再販売物件の登録は、買い反響取得が見込めますし、反響のあったお客様に購入してもらえば仲介手数料をダブルにできる絶好のチャンスです。そのチャンスを逃さないように致しましょう
6.・・・
7.・・・
8.再販売価格:再販売価格が高く設定されてしまいますと、専任期間での売却が難しくなり、結果として仲介手数料を得ることがなかなか難しくなります。
9.買取までの流れ
①物件の紹介:・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・※どんな業者がどんな金額を出してくれるか予想がつかない場合もあります。売主の希望金額にもう少し足りないといった場合は、最低50社以上に金額を当たるなどして、高買いしてくれる業者を探しましょう。
②資料送付:販売図面をそのまま送付してしまうと、出回り物件や販売図面での価格でも一般のお客様に売れない物件と認識されてしまいます。
③内見:買取会社を物件に案内するときも一般のお客様を案内するようにしましょう。極端なことを言うと、物件までアップ・ダウンがある場合には駅まで迎えに行き、物件まで一番良いルートや一番日当たりが良い時に内見してもらうようにしましょう。また、机上査定を内見後の査定価格にブレが無いようにしっかりと担当者を教育しなければなりません。
④社内稟議:担当者が査定した価格を決済権者からOKをもらいます。この際に、内見前の価格と稟議後の価格にブレが無いよう事前にしっかりと担当者に含んでおかなければなりません。
⑤条件交渉:引渡時期、残置物の可否、手付金の額、仲介手数料の支払い時期、再販物件の専属期間等を確認しましょう。
⑥契約:買取会社の社判が持ち出し可能かどうか確認しましょう。
10.注意事項
①買取業者にたくさんの会社に査定を依頼していることを伝えると真剣に取り扱ってくれない場合があるので注意しましょう。しかしながら競争であることは認識してもらわないといけないため、自分ではなくほかの営業マンが他社に紹介していると伝えましょう。「今回の案件は①センター長案件なので②月末が近いということもあり、複数の営業担当者が業者にあたっており、既に〇〇万円まで数字が出ています。しかし、①再販売で間違いなく売れる物件なので②自分が物件担当なので、是非御社に買って頂きたいと思っています。他社と同じ金額を出して頂ければ御社を優先することができますので、ぜひお願いします。」
「私は、他の業者には紹介していないのですが、別の営業マンも当たっている。当然自分の業者で決めたいので、何とかお願いします。」
②レインズ登録後に買取査定をお願いすると、レインズでの販売価格は一般消費者に買ってもらえない価格と判断され、レインズでの価格が再販売価格として検討されてしまい、結果として査定価格が低くなってしまいます。買い取り査定を依頼するときは、一旦レインズ情報を削除する等の工夫が必要となってきます。
③永久専任・専任返し・手付金等の条件は、業者内見前に伝える必要があります。一度買取査定価格が算出されますと、その他の条件を付加することが難しくなります。
④他社と査定がぶつかった時などは、先に情報を送った会社が優先されます。他社に負けないよういち早く業者に資料を送って話をつけることが重要です。高い金額を出す業者を他社に抑えられてしまうと負けてしまいます。
⑤・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑥居住中や他の家族には内緒の場合等、業者に下見してもらう場合には気をつけなければなりません。また、業者の中には室内の写真をとる必要がある場合がありますので、売主に断っておく必要があります。
⑦業者が買い取り金額を出す上で重要となるのが、再販価格です。業者に高い再販価格を設定してもらえるよう営業する必要があります。
⑧業者の売買契約書は通常コピーで良いため、契約印紙は不要になります。また、仲介手数料は予め契約時半金、決済時半金の話をしておかないと、決済時全金となってしまいます。
⑨売主の中には、業者価格は相場価格より安いという先入観を持っている人もいるため、業者買取を嫌がる人もいます。
⑩業者の中には取りまとめ依頼という形で担当者ベースで買い付けを出し、いざ売主が価格に応じるとそこから社内稟議にかけ、実際の買い付け価格が下がってしまう場合もあります。また、室内の内見前に高い買い付け金額を出しておいて、内見後に価格が下がってしまう場合もあります。そのようなことが無いよう、事前に担当者にしっかり念を押してブレがないように言い含めなければなりません。ひどい業者になると、事前にフルリフォームが必要だと伝えていたにも関わらず、実際に中を見てフルリフォームが必要なので買取金額が下がってしまったという業者もいます。「大丈夫だとは思いますが、買い付け金額がブレたりすることはありませんよね?今回の案件についてはブレることができないので、もし社内稟議が必要であれば事前に取っておいて頂きたいです。絶対に買い取るという固い金額を出してください。」
⑪業者の中にも暇な担当者がいます。机上の段階で売主希望金額と買取金額との間に差があるにも関わらず、とりあえず(社内上)仕事をしていることにしたくて、内見を希望してくる業者もあります。そんな業者を連れて行ったところでまとまるわけがなく時間の無駄になってしまうので注意が必要です。
⑫業者には、バス便、築年数30年以上、半地下、事故物件は不可、フルリフォーム前提なので売主が中途半端にリフォームしてあっても交換する必要があるという条件があったり、駅近、大規模マンション、築浅、残せる部分は残すのでリフォーム費用があまりかからない、は高く買うというような得意・不得意な分野がありますので、慣れないうちはたくさんの業者を当たりましょう。
11.特殊要素:買取業者から高い買取金額を算出してもらうための特殊要素をまとめました。
①決済権者:決済権者と親交があると、多少無理な価格でも今回は赤字覚悟で、と購入してくれる場合があります。
②類似物件の保有・成約:類似物件を他社に購入されてしまうと自社物件が売りづらくなる、過去に類似物件で良い取引ができた等の理由で高い買取価格を算出してくれる場合があります。
③タイミング:ノルマが未達成、上場の予定がある、金融機関からの融資枠が残っている等の理由で、高い買取価格になる場合があります。
④担当者:力のある担当者が良い金額を出してくれるのはもちろんのこと、辞める予定がある担当者なども後先考えずに良い金額を出してくれる場合があります。
⑤名前を売りたい:新しいエリアに進出するときなど、とりあえず名前を売るためにエンド価格でバンバン物件を買う業者が現れたりします。
⑥・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑦再販先の目処がついている:購入した物件を他の企業へ賃貸にする、既に購入者を確保している等の理由により、エンド価格で物件を購入してくれる場合があります。
⑧成功体験:過去に同じマンションや類似物件で高く売れたことがある等の成功体験があるおかげで、その物件であれば高く買っても良いという場合があります。
12.買取価格の算出方法:予めどのような基準で買取価格を算出するか知っておけば、業者や売却希望客に対して強い交渉ができます。
【マンション・戸建て】
➀再販売価格-購入時の仲介手数料−売却時の仲介手数料−購入時の登記費用−抵当権抹消費用−リフォーム費用−販売期間中の金利−その他経費(契約印紙・火災保険)利益=買取価格
※再販売価格が3,680万円の物件の買取価格例
3,680万円−874,800円−1,257,120円−20万円−2万円−300万円−10万円−10万円−300万円=2,820万円
【土地】※相場が4,000万円の土地の場合
土地は、分割できるかできないかで買取価格が大きく異なってきます。
➀分割できない土地の場合
新築再販売価格−新築費用−利益=買取価格
5,200万円−1,500万円−500万円=3,200万円
②分割できる土地の場合
新築再販売価格−新築費用−利益・経費=買取価格
4,000万円×2−1,500万円×2−500万円×2=4,000万円