調査

 媒介契約後、契約締結前までに物件についての調査を完了しなければなりません。調査内容によっては売買契約の目的を達することができないため、できれば媒介契約後直ちに調査を行いたいところですが、契約になりもしない物件の調査を行って結局売れなかったりした場合は、調査時間が無駄になってしまいます。明らかに重要な事項は媒介契約後直ちに調査をし、それ以外のことについてはある程度契約がまとまりそうになってから行いましょう。

【役所調査】

1.ポイント

 ①誰から聞いたのか:その場では理解したつもりでも会社に戻ってからもう一度聞きたいことが出てくる場合があります、そんな時、名前を覚えていれば先ほどの話ですが、と聞き易いです。また、後で問題が起きた時にはいつ・誰から聞いたのかが重要です。

 ②完全に理解できたのか:役所の方に相談して、例えば再建築できるという結果だけ聞いて会社に戻ってしまってはダメです。何故再建築できるのか、再建築できる場合の条件は何か、どのような場合に再建築できないか、過去に再建築できなかった例はあるのか、等詳しく押さえてくる必要があります。

 ③資料の見落としはないか:せっかく調査で取得した資料もその場で見なければ意味がありません。会社に戻ってから資料を確認して、役所で聞くべきことが出てきた、という様な事が無いようにしないといけません。

 ④・・・この内容はマニュアルに記載されています・・・

2.農地転用

 ①市街化区域にあり地目が田や畑になっている物件で、以前に農地転用を受けているにも関わらず登記されていない場合は、第三者が申請しても転用証明を発行してくれます。

 ②市街化区域にあり地目が田や畑になっている物件で、これまで建物が建ったことがない土地にこれから建物を新築するような場合には、建物の基礎ができた段階で農地転用をすることができます。

 ③市街化区域にあり、既に建物が立っている物件では、簡単に農地転用を受けることができますが、農業員会の許可日程が決まっていますので時間的な注意が必要です。

3.都市計画施設:都市計画施設が敷地の一部にかかっている物件は、売却の際にはまず自治体が買い取るか確認しなければいけないこと、都市計画施設に接している敷地が広い物件は、公有地拡大推進法に基づく契約前の届出が必要な場合がありますので確認しましょう。

4.角地緩和:敷地が角地だからといって角地緩和が受けられるとは限りません。役所で角地緩和の基準に該当しているか確認しましょう。

5.建ぺい率・容積率オーバー:建ぺい率・容積率がオーバーしているということは建築基準法に違反しているということであり、本来是正する必要がありあす。中には近隣住民の通報により是正勧告が出されていることもあり、役所にその履歴が保管されています。登記簿謄本や評価証明書、建築概要書を確認してオーバーしていないか確認してみましょう。

  ①法律に違反している物件(検査済みが無い物件の一部)は、建築確認申請を要する増改築を大手リフォーム会社がしてくれないので注意が必要です。※増改築していない既存部分も問題ないことを保証(担保)しなければならないため。

  ②建ぺい率オーバーで多い例:カーポートや物置の設置、ベランダや居室の増築。

  ③容積率オーバーで多い例:吹き抜けを潰して居室に、屋根裏を改造して居室に、法律改正によって容積率が厳しくなってしまった。

  ④容積率不算入措置:例えば自転車置き場、駐車場、共用廊下、地下室部分、等の住宅としての用に供していない部分については容積率に参入しなくても良いという制度があります。登記簿謄本上容積率がオーバーしている場合に調べてみましょう。

6.高さ制限:既に建築されている物件であれば、高さ制限の緩和は重要ではありませんが、重要事項説明書では何故高さ制限をクリアしているのか、制限の緩和措置を受けているのか説明しなければなりません。例:地盤面をどこに設定しているのか(地下室扱いになっている部屋があるか)、公開空地を設定することで高さの緩和措置を受けていないか、建築時建物の高さの制限はあったか

7.再建築の可否:物件が再建築出来るかどうかは重要なポイントです。接している道路が建築基準法上の道路か、敷地面積の最低限度をクリアしているか、市街化調整区域の建築条件をクリアしているか、がポイントになります。

8.・・・この内容はマニュアルに記載されています・・・

9.浸水履歴:役所で調査しても、ある地域で何戸(例:○○町で〇戸の住居)が大雨や台風の影響により浸水(床下、床上)したことがわかりますが、住戸までは特定することができません。そのため、ハザードマップの浸水想定区域に指定されていたら売主に浸水履歴について聞くという方法が良いかも知れません。

10.土壌汚染:過去に汚染物質を取り扱いしていた事業場(クリーニング店も該当します)・工場が事業を閉鎖する場合には、汚染物質の除去が必要となります。物件が過去に指定されていたことのある土地ではないか、指定されていても適法に汚染物質が除去されているか確認する必要があります。

11.建築概要書:調査対象となる物件が、建築当時どのように法律に適合させて建物を建てていたのか確認する必要があります。建築当時より法律が厳しくなっていれば既存不適格建築物の可能性があることや、再建築する場合にどのようにすれば良いのか、確認できます。

12.検査済み:特に物件について変更を加える場合に、建築当時法律に適合していた物件(安全性が担保されていた物件)ということが重要になります。検査済みを受けていない物件ということは、法律に適合している安全な物件ということを担保することができなくなります。平成10年以前の物件は検査を受けていない物件が多いため(間取り変更やカーポートの設置など、建築主の要望で軽微な変更を行う場合でも変更申請が必要となるため、費用を抑えるために変更申請をしないことが一般的だった)、予めお客様にはそのことを伝えておいて方が良いでしょう。

13.擁壁、地下車庫:擁壁や地下車庫は検査済みがないと、安全性が担保されないため、構造計算等が必要となります。構造計算は多額の費用が必要となるため、安息角で擁壁に土圧をかけない方法や、地下車庫上に建物を建築しないという方法をとることもできます。

14.軟弱地盤:軟弱地盤に建物が立っている場合、建物に傾きが生じてしまう場合があります。

15.埋蔵文化財:戸建ての場合、試掘調査(1ヶ月程度かかる)と本調査(試掘調査の結果、本格的に遺跡発掘を行う。6ヶ月程度かかる)は一戸建ての場合は滅多に行われず、建物解体時に現れた地表を確認する程度に終わることが多いです。

16.道水路:赤道や青道などに接している土地の場合は、境界が定かではない(土手や畦道・農業用水路等は特に)ため知らずして国もしくは自治体の土地を勝手に使ってしまっている場合があります。役所の道水路台帳で確認する必要があります。

【現地調査】

1.ポイント

 ①写真を撮る:調査に慣れないうちは、後からどうだったか気になることがたくさん出てきます。(越境や屋外照明、塀の高さ、残置物、雨水の放流先等)

 ②空中に気をつける:電線や屋根の一部、雨樋など、空中で越境しているものがある場合があります。空中は確認のし忘れが多いので要注意です。

 ③・・・この内容はマニュアルに記載されています・・・

2.屋根裏:押し入れの点検口から屋根裏に上がり、ネズミが住んでいないか、雨漏りの跡がないか、シロアリが2階まで来ていないか調べます。

3.シロアリ:台所の床下収納から床下を点検し、シロアリが生息していないか確認致します。

4.・・・この内容はマニュアルに記載されています・・・

5.塀の所有:隣地との先にある塀が誰のものなのか確認しておく必要があります。建売りの多棟現場で塀が境界線上にある場合は、共有である可能性が高いです。共有の塀は勝手に壊すことができないので注意が必要です。

6.擁壁:擁壁は地中で越境していたり、たわみや亀裂があってやり直しが必要になる場合があります。

7.境界標:敷地の境界標がない場合は新たに設置する必要があります。その際隣地の承諾を取る必要があります。境界標は地表で見つからない場合でも頑張って探せば出てくることが多いです。

8.道路幅員:特に位置指定道路の場合、幅員が決まっておりますので、何らかの原因で幅員が確保できていないと再建築できません。道路台帳と実際の幅員が異なる場合もありますので、実際にテープを当てましょう。

9.周り間:敷地の寸法を測りましょう。境界から境界までメジャーを持って測ります。測量図と大きく異なる場合は面積が増減しますし、隣地との境界標の位置がずれてしまっている可能性もあり、近隣トラブルの可能性もあります。

10.浄化槽:古い戸建ての場合、建築当時は浄化槽を使っていて、その後公共下水道が整備されたため浄化槽が埋め戻しされている場合や、前面道路に公共下水管があるにも関わらず、費用面から接続工事をしないで浄化槽をそのまま使用している場合があるので、敷地内にガスメーターのようなものがないか確認しましょう。

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