査定を、不動産会社の査定価格を伝えることと勘違いしてはなりません。お客様の面接を受けるぐらいの気持ちで臨みましょう。何故査定を受けたいのか。どれくらいで売れると思っているか。お客様はどのような方なのか。共通点はないか。お客様との人間関係が出来て始めて媒介契約ができます。また、査定訪問する場合には、お客様の要望・質問には全て応えられる様十分な準備が必要です。
1.査定の流れ
①訪問アポ:査定は他社と重複している可能性がありますので注意が必要です。
②内見:室内の状態を確認して査定しましょう。
③世間話:お客様がどういう方なのか、自分と共通点はないか、話が盛り上がって2時間も3時間も話せれば媒介契約はすぐです。査定は、面接のようなところもありお客様から信頼を得られるようプレゼンしなければなりません。
④売却事情の確認:転勤・買い替え・債務整理・相続・離婚・余剰資産・高く売れるなら・手広になった・手狭になった等、様々な売却理由があります。
⑤お引き渡しまでの一連の流れを説明:私達では当たり前のことであってもお客様はわかりません。また、今後の流れがわからなければ媒介契約もできません。
⑥成約事例の説明:過去に自分で取引した事例があれば、それが一番の説得力になります。無ければレインズの成約事例を説明しましょう。
⑦査定書の説明:評点比較の方法(国土交通省のガイドラインに基づく方法)で査定していると伝えましょう。
⑧媒介価格の相談:媒介契約の金額は売却事情によって異なる(早く売りたい方は低めに、そんなに急いでいない方は高めにする)ことを説明。査定価格と媒介価格は異なることを説明します。最終的にはお客様の希望金額で販売活動をスタートすることを伝えましょう。
⑨媒介契約の種類の説明:専属のメリットを伝えましょう。(販売活動の窓口が1社になるので効果的な販売戦略ができる。広告費を使える。一般のデメリット。)
⑩引渡し時期の確認:仮住まいや引渡し猶予・長期の引渡し時期を希望していないか確認します。
⑪・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
⑫・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
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2.持ち物リスト
①媒介契約書:お客様のご自宅に行く際は、アポイントの段階で媒介契約が難しいと思ってもどんな展開となるかわからない為、必ず持って行きましょう。
②朱肉と捺印マット:媒介契約となった後は、お客様の手を煩わせてはいけません。必ず持って行きましょう。
③ティッシュ:お客様の印鑑についた朱肉を拭き取るのに必要となります。
④電卓:査定金額の算出や諸費用の計算に必要となります。
⑤カメラ:媒介契約となった後、眺望や室内の状態を撮影するために必要となります。
⑥物件状況報告書・設備表:媒介契約となった際に、買主様のご案内時に伝えておくべき事項がないか確認するため、必ず持って行きましょう。
⑦名刺:これがないと始まりません。かばんの中や財布の中には、必ず予備の名刺を備えておきましょう。
⑧・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
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3.反響の電話を取る
最初は反響の電話を先輩に取り次げるぐらいになりましょう。
①お客様の連絡先(氏名・住所・電話番号)
②査定物件の所在
③査定希望日時ぐらいは最低限抑えましょう。
④売却理由はなにか(相続・買い替え・離婚・ステップアップ・債務返済・転勤・独立・家族構成の変化・支払が困難・老後資金の捻出)
⑤残債はあるか(残債が多いと売りたくても売れない場合がある)
⑥所有者は一人か(共有者はいないか)
⑦査定訪問時に所有者はいるか(特にご主人様)
⑧他社のアポはあるか:査定日時の調整をする際にお客様の予定を聞き他社の査定があるかどうか確認しましょう。「査定の日時を調整致しますが、客様の今週末のご予定は如何でしたでしょうか。土曜13時の査定日時ですが、午後から会うお客様にぴったりの物件で是非紹介したいと思っておりますので、午前中のご予定は如何でしたでしょうか。」
4.査定のアポイントをとる(無料査定・秘密厳守)
査定の依頼がきたらなるべく早めの日程でアポイントをとりましょう。査定の依頼をしているのは1社だけではありません。アポイントが先の不動産会社に媒介契約しているかも知れません。※なかなか忙しくてアポイントが取れないお客様には玄関先でも会えるように話をしましょう。名刺を渡しておくだけでも全然違います。
5.査定時に伝えること(お客様に決断を促す)
①室内清掃とリフォームは買主負担:売主の中には賃貸と混同して、クリーニングをしたり、場合によってはリフォームして買主に引渡ししなければならないと考えている方もいます。基本的には買主負担になることを伝えましょう。
②販売金額は売主が決める:売主の中には、不動産会社の査定金額で売り出ししなければいけないと誤解している方もいます。不動産会社の査定金額はあくまで参考のもので、売り出し金額は売主自らが決めるべきものだと伝えましょう。
③引渡時期は1年後でも良い:引き渡し時期は交渉条件の一つですので、売主が1年先の引渡しを条件とすることも可能です。新築の竣工が1年後の場合の住み替え等でそのようなケースが起こりえます。
④買い替えには売却先行するのが一般的:買い替え時に購入を先に決めるか、売却を先に決めるか悩む売主がいますが、売却金額を除いて資金の手当てができる方は購入先行、自宅の売却が条件となる方は売却先行で買い替えするのがセオリーです。購入先行の方が、先に購入先を見つけて引越し後にゆっくりと売却できるのに対して、売却先行は先に売却の引き渡し時期が決まるのでそれまでに購入先を決めなくてはなりません。自他の売却が条件となるのに先に購入先が決まってしまった場合は、早く売却を決めなければならず、結果として売却金額は低くなる傾向にあります。
⑤費用は成功報酬:お客様の中には、売却が決まらず中止となってしまうような場合に、それまでに費やした経費を請求されるのではと気にしている方もいます。報酬はあくまで成功報酬ということを伝えましょう。
⑥広告費用はかからない:新聞折り込み広告を行う場合に、広告掲載費用がかかってしまうのではないかと心配される方もいるので、そのような心配はないと伝えましょう。
⑦室内の荷物の量は査定価格に影響しないこと:お客様の中には、室内が散らかっているので恥ずかしいという方や査定価格に影響するのではないかと心配する方もいらっしゃいますので、気にしなくても大丈夫と伝えましょう。
⑧他社に査定を依頼しても結果は同じ:査定を他社にもしてみたいというお客様には、販売活動方法がネットやレインズでほとんど変わらないということや、査定方法についても不動産会社の監督官庁である国土交通省の外郭団体である不動産流通推進化センターが提供する価格査定マニュアルに沿っていること、直近の成約事例と比較検討するので変わらないと伝えましょう。
⑨販売活動は1日でも早いほうが良い:極端なことを言えば、本来査定物件を購入するはずの方が違う物件を購入しようとしているかもしれません。
⑩媒介契約は1週間でも良い:他社と一般媒介にこだわるお客様には1週間でも専属媒介をお願いしましょう。その1週間で契約成立することもあります。また、1週間で決められる自信があるとお客様に伝わりますし、販売活動如何によっては更新することもできます。
⑪インターネットに掲載しない方法もある:近所に知られないで売却をしたいというお客様には、インターネットに掲載しないで販売活動できると伝えましょう。
⑫一般媒介契約にはあまりメリットがない:例えば不動産を多数所有しているようなセミプロの方は自分で不動産売却をしたいという考えで、自分が販売戦略を作って不動産会社を手足のように使って不動産売却を進めたいという方もいます。ところが、一般の方にはそのようなことはできず、かえって面倒になってしまいます。お客様の内見日時の取りまとめ、条件交渉、営業担当者とも密接な打ち合わせができず、点々ばらばらの売却活動となってしまいます。
⑬・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
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6.トーク例
「ご所有不動産とお客様が希望する条件が合うので、是非お客様にご紹介させて下さい」
「お客様にご紹介する金額を相談しにお伺いさせて下さい」※チラシのお客様についてお問い合わせがあったとき。
「雰囲気さえわかれば良いので玄関先で構いません」※査定のアポイントがなかなか取れないとき
「地域担当としてご挨拶にお伺いしたい」「リフォームは買主様費用負担で行います」
「ダブルローンが組めなければ売却先行しなければなりません」※買い替えのお客様が、購入先が見つからないと媒介契約できないと言っているとき。
「売却の希望時期を半年~1年後と条件を設定して売却活動をすることもできます。」※売却時期を後にしようというお客様に。
「媒介契約=売買契約ではない」※販売活動に抵抗感があるお客様に。
「インターネットに売却情報を掲載しても興味のある人しか見ていないので、近所にはわかりません。」
「専属媒介契約の場合、窓口は弊社一本で販売情報は共有」「一般媒介契約は販売戦略を自分で考えなければなりません。」
「媒介金額は売主様の事情によって異なります。」
「いついつまでに売らなければいけないという事情がなければ販売価格を少し高めにして様子を見ながら下げて行ったほうが良いと思います。」
「買い替え先が見つかるまでは高めの金額で販売活動しましょう。もしその金額で売れれば仮住まいをしても負いのではないでしょうか。」
「以前お問い合わせ頂いていた担当から変わって私が新担当となりましたので、一度ご挨拶にお伺いさせて頂ければ幸甚でございます。」
「お店を出る前に一度お電話してからお伺い致します。」※訪問の正確な時間が読めないとき
「購入お客様の8割が近場の人です。」
「只今不動産市況が賑わっており、先月も私がお預かりしていた物件が五つ契約となりました。」
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「この地域の不動産売却はほとんど私が担当しています。ご所有不動産のご売却には絶対の自信があります。」※自社の別の担当が成約している事例はもちろんのこと、他社の成約事例まで示して、自分が査定物件のエリアで一番成約していることをアピールしましょう。
「購入を検討している方の中には、多少高くても購入しなければならないという方もいらっしゃいます。そんな方が今まさにご所有不動産と類似している物件を購入しようとしているかもしれません。」※売却時期を後にしようというお客様に。
「販売活動をして、購入見込み客が見つかるまでは一般的に2~3ヶ月程度かかります。また、売買契約後、残代金の支払いとお引渡しには、更に2~3ヶ月程度かかります。購入客のローン準備と、ご所有不動産の住宅ローン返済手続きに時間がかかるからです。」※売却時期を後にしようというお客様に。
「・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・」※もしかすると売らないという選択もあるお客様に。
「・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・」※空家になってから売却したいというお客様に。
「このように査定させて頂いているのもなにかのご縁と思います。是非良いご縁が見つかるよう買主様を探すお手伝いができればと存じます。」※売却の理由を探している客様に。
「空き家を放置していると、浮浪者が住み着いたり放火があったりと事件事故が起きてしまうと売れなくなります。」※空家のまま置いておいても良いいうお客様に。
7.注意事項
①物件に瑕疵や不具合がないか確認しましょう。
※シャワーヘッド・水道の水漏れ・ガスコンロの着火不良・給湯器・エアコンの故障・建具のがたつき・床鳴り
※特にエアコンは善意で残したものが故障していた場合に撤去費用等でトラブルになりやすいです。
②売主の希望価格をさぐりましょう。
③物件の設備についての確認をしましょう※床暖房・浴室換気乾燥機・浄水器・追い焚きの可否・食洗機・24時間換気システム・TVモニター付インターホン・コンベック・エアコン・カーテン・照明器具は持っていくのか・TVは地デジに対応しているのか
④リフォーム履歴を確認しましょう。※販売図面にリフォーム履歴を掲載することで、部屋の内装状態やリフォームに必要となる金額について確認できます。
⑤お客様をお連れ出来る内見可能日を確認しましょう。
⑥電話可能時間帯を確認しましょう。※売主にとっての非常識時間に電話をかけるとクレームになります。
⑦売主とすぐ連絡が取れる携帯番号を確認しましょう。※内見希望があったときに直ぐ内見日時を調整できるようにしましょう。
⑧ポスティングチラシ(特に同じマンション内)や新聞折り込み広告・インターネット掲載が出来るか確認しましょう
⑨査定価格はなるほどと納得できるまで調べましょう。
⑩査定書は、後日の値下げのために提出しておく必要がありますが、売主の希望価格を察知した場合は、まずは売主の希望価格で販売活動をすることを提案しないと他社に媒介契約されてしまいます。
⑪・・・この内容はマニュアルに記載されています。・・・
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⑬周辺に駐車場等の空地がある場合、建築計画がないか確認します。
⑭返事の保留:お客様が返事を保留する場合は、他社の査定があるか、査定金額に不満があるか、お住み替え完了までの具体的な流れがピンと来ていない、と言うような場合が多いです。※だめな場合の8割は金額です。
⑮謄本を取得して・住宅ローンの残債がどれくらいあるか、購入金額はいくらか、他に名義人はいないか、差し押さえ等はされていないかを確認致します。
⑯1回目の訪問時に売却依頼をして頂ける売主様もいます。そんな場合に、一度会社に戻って査定書を作ってから再度訪問する形になると、査定書の中身を確認して後日改めてということにもなりかねません。詳細な資料は用意してもその場で使ったほうが良いかどうか見極める必要があります。「探しているお客様は、新築5,000万円は購入することはできないけれども、中古をリフォームして購入するという方が多いです。予算は4,000万円前後という方が多いのですが、いくらで紹介したら宜しいでしょうか」※この質問によって、家を査定するということではなくてお客様に紹介する希望金額を決めるという提案になります。
⑰単に坪単価での査定価格だけではなく、総額(その地域にそれだけの予算を持っている人がいるか)や新築物件との比較で査定価格を算出しましょう。
⑱告知事項はないか:事件・事故・トラブルがあった場合で、緊急車両の出動等があって騒ぎとなれば、近隣にその事実が伝わってしまいます。入居後に近隣住民からその事実を聞いて、契約前に聞いていなかったら買わなかったとなればクレームになってしまいます。病気等による自然死の場合でも、死後数日等経っている場合など微妙なケースもありますので、よく聞き取りする必要があります。
7.その他
①お客様との会話に使う共通点
・学校・出身・天候・経済・スポーツ・新聞記事
②資料を預かりましょう:室内を拝見して改めて査定書を提出することになった時には、図面等の資料を預かるようにして、他社の査定があるかどうか確認するようにしましょう。