建物を目視調査する場合のチェックリストをまとめました。
1.基礎
①コンクリートの割れ:ヘアクラックではない大きなひび割れがないか
②鉄筋の膨張:コンクリートのかぶり厚が充分ではない場合、鉄筋が水分を含み膨張してコンクリートを押しだして来ます。
③ジャンカの発生:立ち上がりの打ち継ぎ面近くに大量のジャンカがある場合、建築時にしっかりした打設が行われなかった可能性があります。
2.外壁
①シーリング:シーリング材が劣化していれば防水機能が低下し、雨漏りの原因となります。
②モルタル:モルタルの仕上げ面(表装)は、通常下地板の継ぎ目で割れてきますが、斜めに割れている場合は、建物が変形している可能性があります。
③開口部付近のクラック:雨水は窓のサッシ枠に伝わって落ちますので、開口部付近にクラックがある場合、雨漏りの原因となります。また、開口部付近の弱いところに荷重が集まりやすくクラックも生じやすいです。
④水染み:水染みのある壁は、壁の内部に雨水が侵入したり、結露が生じていたりします。
3.屋根
①屋根裏:屋根裏に雨染みがないか調べます。
②取り合い部:屋根材の継ぎ目(取り合い部)は不整合が生じやすい場所です。不整合が生じた場所から雨水が流入しやすくなります。
③採光窓(トップライト):トップライト下端の防水シートが劣化し、雨漏りの原因になります。
4.バルコニー
①立ち上がり部や接合部:立ち上がりや接合部に隙間があると、そこから雨水が侵入してきます。
5.床下
①シロアリ:シロアリが生息していないか調べます。
②漏水痕:漏水して躯体に漏水痕が生じていないか調べます。
6.室内
①傾き:水平器やドアの開閉がスムーズか、場合によってはビー玉を転がしてみます。
②腐食:室内に腐食している箇所がないか調べます。
7.庭先
①浄化槽や井戸があった痕跡がないか調べます。
②マスを開けて隣地への越境や隣地からの越境がないか確認します。
8.評価証明書
①増築部分がないか登記簿謄本と比較します。
9.擁壁
①たわみ・クラックがないか調べます。
②ブロック塀が隣地との共有か、所有しているのか調べます。ブロック塀の真ん中に境界票がある場合は共有であることが多いのですが、異なる場合もあるので注意が必要です。
10.越境
①屋根の一部や塀や植栽が越境していないか確認します。
②境界票が全箇所あるか確認します。
11.残置物
①物置や庭石が撤去なのか、現況のままなのか確認します。希に巨大な石や旧基礎が埋まっていて撤去費用が多くかかってしまう場合もあるので注意が必要です。
重説作成時のチェックリストをまとめました。
・倉庫や集会所等の登記された共有建物が別にないか
・電線等の地役権、地役権が設定されていないか
・規約敷地はないか
・相続登記が未了の場合、相続登記ができない場合を解除条件としているか
・仮登記や差押の登記がされている場合、抹消ができない場合を解除条件としているか
・都市計画施設がある場合、その位置、面積、計画〈事業〉決定年月日並びに公拡法の適用があるか
・前面道路の種別(公道、私道、幅員、位置指定年月日、開発許可年月日、セットバックの有無とその面積と道路中心線の位置)
・位置指定道路と現況道路の形状が一致しているか
・建ぺい率・容積率オーバーしていないか
・土地区画整理地の場合、換地図を取得したか
・私道の持分はあるか、ない場合掘削・通行承諾を取得したか
・私道の場合、水道管や下水管は公設管か※私設管の補修・更新工事は私道所有者の負担
・電線・屋根・植栽・ブロック塀・擁壁が隣地に越境していないか、隣地から越境されていないか
・上下水道管・ガス管が隣地を経由して引き込まれていないか、隣地の管が敷地内を経由していないか
・プロパンガスを中止する場合、解約金がかからないか
・浄化槽の清掃金がかかるか
・施設設置料金の未払金等はないか
・土地が賃借権の場合、残存期間、名義変更料、地主の承諾書が必要か確認したか
・リフォーム工事を行う場合の制限を確認したか(フローリングの遮音等級・隣接住戸の承諾書・工事着工○日前の許可)
・ペットの飼育制限頭数はあるか
・駐車場の空きがない場合に、順番待ちとなるか抽選となるか
・長期修繕計画書上の一時金徴収の有無、値上げ予定の有無は確認したか
・売却時の一時金払いはあるか
・大規模修繕実施の時期と今後の予定、共用部分の修繕履歴を確認したか
・機械式駐車場やエレベーターの更新工事予定はないか
・管理組合の借入金はないか
・管理費、修繕積立金の滞納がないか、マンション全体での滞納がないか
・専有部分がリフォームしてある場合、規約違反の工事となっていないか
・TVは地デジなのか、CATVなのか、CATVの場合使用料がかからないか
・災害警戒区域に指定されていないか
・アスベストの使用がないか、ある場合どこに使用されているか
・耐震診断を受けているか、受けている場合耐震補強が必要か
・オーナーチェンジの場合、敷金、賃料の清算確認をしたか
・年末をまたぐ取引の場合、前年の固定資産税額で清算するか確認しているか
・売主が課税業者の場合、消費税額を確認しているか
・ゴミ置き場の場所を確認したか
・境界標はあるか、道路部分との境界標は確定測量しない場合には不要
・更地の場合、取り壊された建物が滅失登記済かどうか確認したか
・未登記部分がないか現地や固定資産課税台帳と確認したか
・公有地(青地・赤地)が含まれていることで大幅な敷地面積の減少がないか
・敷地の路地状部分が、条例の制限に反していないか
・既存不適格建築物を増築する場合、増築部分だけでなく既存部分全体を現法に適した建物に適した建物にしなければならない
・但書道路の許可基準が明確か
・擁壁や崖が建築確認を取得するのに支障がないか
・擁壁は検査済か
・擁壁にはらみやクラックがないか、大谷石を使用していないか
・法地に擁壁がない場合、擁壁設置の義務があるか
・埋蔵文化財がないか
・高圧線下またはトンネルの上等の場合、建築物の建築制限がないか
・河川区域内ではないか
・建築協定や地区協定がないか
・水道管が細く(13㎜)ないか
・水理計算に問題がないか
・シロアリの検査を入れているか
・天井や壁に雨染み、カビ等はないか
・スレートの割れ、はがれ、モルタルクラック、つなぎ目部分のずれはないか
・蟻道や床下点検口から見て異常はないか
・フカフカしている個所はないか
・特に浴室回りのドア枠等がスカスカしていないか
・地盤の沈下、亀裂、床の落ち込み、建具の開閉具合に問題がないか
・土地履歴が田の埋立地、盛土の造成地ではないか
・水平器を使用して傾きがないか確認したか
・エアコンの取り付け方法が特殊ではないか
・外国居住者が売主の場合、所得税の源泉徴収がどのようになっているか
・物置、カーポートがある場合に建ぺい率・容積率違反となっていないか
・取引物件に都市計画施設が隣接していないか(公拡法)
・エレベーターが既存不適格ではないか、定期検査票で確認