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5月に施行される空家対策特別措置法。解体勧告などの対象となる危険空き家と判断される主な目安が国交省から発表されました。全国で820万戸にも上る空家。空家と判断される基準、空家のビジネスチャンス、空家のリスク、自治体の取り組みなど、今後注目される問題です。
1.【主な目安】なかなかここまで放置されている空家は少ないのではないでしょうか。
・建物に傾きがあること
・土台にシロアリの被害があること
・トタン屋根や看板などが落ちそうなこと
・ゴミの放置や投棄で多数のネズミやハエが発生していること
・立ち木が建物を覆うほど茂っていること
・多くの窓ガラスが割れていること
2.【ビジネスチャンス】不動産業界がビジネスチャンスとして注目している「空き家管理問題」。各社で様々なサービスやセミナーが始まっています。
・東急リバブル:空家相談サービス(売却・賃貸・管理の三つの視点で総合的な提案)
・住友不動産販売:ステップ空家巡回サービス(長期間空家となっている一戸建て、マンションを専門スタッフが月に一度、巡回点検するサービス)
・三井のリハウス:空家・空地巡回サービス(戸建て・マンション・土地に対して月に1回巡回・確認し、状況を報告)
3.【リスク】空き家には様々なリスクがあります。特に事故が起こってしまうと、事故物件として不動産評価が大きく下がってしまいます。
・放火:放火犯が狙いやすいのが空家です。また、タバコのポイ捨てなどでも出火してしまいます。
・不審者:ホームレスが住み着いたり、人目につかないところで犯罪が起こったりします。
・相続税:敷地の相続評価額が80%減額される小規模宅地の特例が適用されません。
・譲渡税:空家になってから3年後の年末以降は、居住用財産の特別控除が使えなくなります。
・固定資産税:更地と同様の評価がされることによって、固定資産税が6倍になる可能性があります。
4.【自治体の取り組み】各自治体でも独自の取り組みが始まっています。解体だけではなく、空家を活用しようとする動きもあります。
・解体費用を補助
・空き家の購入や賃借を希望する方に情報提供
・空き家を改修し市民活動や地域活動に役立つ集会所として活用する人たちも応援
5.【空家が増えている理由】こんなに空き家が増えてしまったのは、少子高齢化や地元の過疎化が原因かもしれません。
・自宅を空家のままして老人ホームに入所
・相続した親の不動産を放置
・解体費用がない
4月13日に配信されたダイヤモンドオンラインで衝撃の爆弾データが公表されました。三井のリハウスで仲介されている不動産の5件に1件は囲い込みがされているというデータです。
【囲い込みとは】
そもそも囲い込みとは、特に売れ筋の物件を他社に紹介せずに自社の顧客のみに紹介する手法です。具体的にはレインズへの不登録・他社の案内希望を断る・売主には売れないことを理由に値段を下げさせる等です。
【何故囲い込みが起きるのか】
不動産仲介会社は、不動産を売主から買って販売しているわけではありません。つまり仕入れのコストがかからないのです。その為、囲い込みをした結果、早期に売却できなかったとしても売り中止にならない限りリスクが少ないのです。片手仲介するよりも両手仲介をした場合には、売主・買主双方から仲介手数料がもらえ手数料収入は2倍になります。仲介会社にとって囲い込みはローリスク・ハイリターンの方法なのです。
【売主の損失】
囲い込みによるメリットは仲介会社にしかありません。売主からすると早期成約できないばかりか、成約できないことで場合によっては値段を下げられる場合もあるのです。
【問題の経緯】
2013年10月:レインズで紹介拒否(囲い込み)の禁止が明文化・罰則化
2014年4月14日:ソニー不動産設立。囲い込みの原因となる両手取引を回避するエージェント制度を導入。
2014年12月4日:不動産・住宅情報サイト『HOME'S』運営会社のネクストがダイヤモンドで囲い込みを断絶すべきとインタビュー。
2015年4月13日:ダイヤモンドにて三井のリハウスの仲介物件の5件に1件が囲い込みされているデータが公表される。
【囲い込みの今後】
これまで、罰則はあったものの監視機能がありませんでした。今回のデータが公表されたことで、国交省やレインズでの監視が強化されるのではないでしょうか。
2015年4月:国土交通省がレインズに対し、「ステータス管理」と呼ばれる新機能の導入を要請。これにより販売物件の状況が公開されるとともに、レインズ情報の一部を売主が閲覧できるようになります。